あなたはストレスを緩和するための趣味をいくつ持っていますか?…この質問に対して「よく考えたら、特にありません」と答える人、結構多いものです。実は、それは危険なことかもしれません。仕事や人間関係、家事、勉強など、やることでいっぱいの毎日の中、何か1つでも自分の好きなことを軸にして、人生の舵を上手くとっていく。心理学ではこれを「ストレスコーピング(心の対処力)」と呼び、重視しています。
悩みの壁にぶち当たったとき、その壁を壊して解決していく作業に疲れたら、一旦そこから気持ちを遠くに置いて、パッと気晴らしをする。これはエネルギッシュに生きていくためには欠かせないことですし、もしその方法を1つも持っていないとしたら、心のレジリエンス(回復)ができないまま、ひたすら我慢し続ける人生ということになってしまいます。
では、どのような趣味がストレスコーピングに役立つのでしょうか。心理的には大きく2つに分類することができます。ひとつは「発散系」の趣味。そしてもう1つは「没頭系」の趣味です。これらはどちらもストレス解消や気晴らしになるものですが、実はその心理的効用が全く異なるので要注意です。
まず、「発散系」に属する趣味としては、たとえばショッピングや暴飲暴食、あるいはギャンブルなど、現実からエスケープすることが挙げられます。他にも、極端な肉体改造をしたり、美容で散財したりといった「変身」にエネルギーを注ぐことも、そのときはスカッとする発散系の趣味といえそうです。また、アクティブな性格の人は、知らない人ばかりのパーティに夜な夜な繰り出すといったこともあるかもしれません。そのような人間関係の過剰な膨張も、パッとストレスを忘れさせてくれる要素があるようです。つまり心を興奮させて、そのドキドキ感でストレスを解消する…それが発散系の趣味ということです。
一方で、「没頭系」とは、何かを創作(絵画や写真、手芸など)することや、鑑賞(芸術・音楽鑑賞や読書、観劇など)することによって、目先のストレスからゆっくり穏やかに距離を置くような趣味のことです。他にも、何かを収集(フィギュアやゲーム・切手などを集める、食べ歩きや旅先の出来事の記録)することも没頭系だといえそうですね。これらは発散系の趣味と大きく違って、一瞬でガラリと憂さ晴らしをするというのではなく、じっくり目の前のものを見て味わうことで、いつの間にかしみじみと気分が穏やかになるという作用を持つものです。これら「没頭系」の趣味は派手なイメージはなく、物静かで落ち着いた性格の人に向いているように思われるかもしれません。ですが、有名人の推し活やキャンピング、釣りといったアウトドアで楽しむものなど、アクティブな性格の人にも向いている没頭系の趣味もたくさんあります。よって、一生ものの趣味としてストレスコーピングに利用するなら、どんな性格の人にも「没頭系」の趣味を持つことをオススメします。
「趣味」というと、とにかくストレス発散!というイメージを抱きがちかもしれませんが、それだけではストレスコーピングには役立ちません。ハイテンションになったり、落ち込んだりといったジェットコースターのような趣味がメインだと、却ってそれがストレスになってきますし、心を疲れさせてしまいます。とくにアクティブな性格の人は、発散系の趣味に関心を持つことが多いかもしれません。しかし、発散系の趣味は「てっとり早くストレスから逃げたい」という短期的な逃避に役立つもので、その行為は言い換えると、ハイテンションによる「恍惚感」に依存する、そしてドーパミン系の活性に頼ることに繋がるものです。つまり、それは依存性が高く、人生を台無しにしてしまう危険性も孕んでおり、注意が必要です。
このため、発散系には頼らずに、没頭系の趣味に興じることによって、「素敵だな」「楽しいな」「面白いな」としみじみした気持ちを味わえるような時間を増やしていきましょう。これはアウトドアでもインドアでも同じ。あなたがリラックスを得られているか、そして穏やかで幸せな気分になれるか、そこに没入できているかということをチェックしながら、何気ない日常の中での没頭系の趣味を増やしてみてはいかがでしょうか。
Photo by pixta
さて、次回は「他人の目を気にしてしまう方へ…!自分に正直になる心理学」についてお教えします。お楽しみに!
あなたはストレスを緩和するための趣味をいくつ持っていますか?...この質問に対して「よく考えたら、特にありません」と答える人、結構多いものです。実は、それは危険なことかもしれません。仕事や人間関係、家事、勉強など、やることでいっぱいの毎日の中、何か1つでも自分の好きなことを軸にして、人生の舵を上手くとっていく。心理学ではこれを「ストレスコーピング(心の対処力)」と呼び、重視しています。
悩みの壁にぶち当たったとき、その壁を壊して解決していく作業に疲れたら、一旦そこから気持ちを遠くに置いて、パッと気晴らしをする。これはエネルギッシュに生きていくためには欠かせないことですし、もしその方法を1つも持っていないとしたら、心のレジリエンス(回復)ができないまま、ひたすら我慢し続ける人生ということになってしまいます。
では、どのような趣味がストレスコーピングに役立つのでしょうか。心理的には大きく2つに分類することができます。ひとつは「発散系」の趣味。そしてもう1つは「没頭系」の趣味です。これらはどちらもストレス解消や気晴らしになるものですが、実はその心理的効用が全く異なるので要注意です。
まず、「発散系」に属する趣味としては、たとえばショッピングや暴飲暴食、あるいはギャンブルなど、現実からエスケープすることが挙げられます。他にも、極端な肉体改造をしたり、美容で散財したりといった「変身」にエネルギーを注ぐことも、そのときはスカッとする発散系の趣味といえそうです。また、アクティブな性格の人は、知らない人ばかりのパーティに夜な夜な繰り出すといったこともあるかもしれません。そのような人間関係の過剰な膨張も、パッとストレスを忘れさせてくれる要素があるようです。つまり心を興奮させて、そのドキドキ感でストレスを解消する...それが発散系の趣味ということです。
一方で、「没頭系」とは、何かを創作(絵画や写真、手芸など)することや、鑑賞(芸術・音楽鑑賞や読書、観劇など)することによって、目先のストレスからゆっくり穏やかに距離を置くような趣味のことです。他にも、何かを収集(フィギュアやゲーム・切手などを集める、食べ歩きや旅先の出来事の記録)することも没頭系だといえそうですね。これらは発散系の趣味と大きく違って、一瞬でガラリと憂さ晴らしをするというのではなく、じっくり目の前のものを見て味わうことで、いつの間にかしみじみと気分が穏やかになるという作用を持つものです。これら「没頭系」の趣味は派手なイメージはなく、物静かで落ち着いた性格の人に向いているように思われるかもしれません。ですが、有名人の推し活やキャンピング、釣りといったアウトドアで楽しむものなど、アクティブな性格の人にも向いている没頭系の趣味もたくさんあります。よって、一生ものの趣味としてストレスコーピングに利用するなら、どんな性格の人にも「没頭系」の趣味を持つことをオススメします。
「趣味」というと、とにかくストレス発散!というイメージを抱きがちかもしれませんが、それだけではストレスコーピングには役立ちません。ハイテンションになったり、落ち込んだりといったジェットコースターのような趣味がメインだと、却ってそれがストレスになってきますし、心を疲れさせてしまいます。とくにアクティブな性格の人は、発散系の趣味に関心を持つことが多いかもしれません。しかし、発散系の趣味は「てっとり早くストレスから逃げたい」という短期的な逃避に役立つもので、その行為は言い換えると、ハイテンションによる「恍惚感」に依存する、そしてドーパミン系の活性に頼ることに繋がるものです。つまり、それは依存性が高く、人生を台無しにしてしまう危険性も孕んでおり、注意が必要です。
このため、発散系には頼らずに、没頭系の趣味に興じることによって、「素敵だな」「楽しいな」「面白いな」としみじみした気持ちを味わえるような時間を増やしていきましょう。これはアウトドアでもインドアでも同じ。あなたがリラックスを得られているか、そして穏やかで幸せな気分になれるか、そこに没入できているかということをチェックしながら、何気ない日常の中での没頭系の趣味を増やしてみてはいかがでしょうか。
Photo by pixta
さて、次回は「他人の目を気にしてしまう方へ...!自分に正直になる心理学」についてお教えします。お楽しみに!