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心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学

心理学者 / 臨床心理士
植木理恵
vol.76 2024/09/12

他人の目を気にしてしまう方へ…!自分に正直になる心理学

外向的な人ほど、周囲の気持ちが気になる

他人の目が気になってしかたない。そのような人は往々にして外向的な気質を持つタイプといえます。読んで字のごとく「心が外に向かう気質」なわけですから、自分自身の気持ちよりも周りの人の気持ちの方が気に掛かるのです。だから気配り上手で、周りに親切。他人の目に私はどう見えているかを心配する人が多いようです。言い換えると、空気を読める力があるからこそ、自己主張が苦手、本当の自分がわからない…と悩んでいる人もいます。

それとはまったく反対のタイプに、自分の世界をはっきり持っていて、他人の目なんてあまり気にならない人もいますよね。そのような人は、おそらく内向的な人だといえるでしょう。「心が内に向かう気質」なわけですから、ホンネを大事にしながら自身のタイミングでテキパキと動くことが得意なようです。しかし一方で、周囲からはマイペースに見えたり、気が利かないと言われてしまったり、周りから浮いていると思ってしまって悩んでいる人もいます。

外向的か内向的か、これはどちらが優れた気質で、どちらが劣った気質ということもありません。両方に一長一短があり、両方の気質の持ち主が半数ずついる集団が一番グループワークが上手くいく傾向にあります。

実際に、これを分類する気質テストをしてみると、調査対象数が増えるほど、概ね50パーセントずつ、両者が存在するという事実がクリアになってくるのです…それはどちらの遺伝子も「世の中に必要」だからこそ、淘汰されずに残っているということの証しでしょう。また、もともと内向的な気質を持った人が、急に外向的に変わる率は低いことも分かっていますので、気質は基本的には「一生もの」だと覚悟したほうが良さそうですね。

ありのままの自分を愛することが自己肯定感に繋がる

大切なことは、この気質の部分に関して、もしあなたが悩みわずらっているとしたら、そんな悩みからは離れて、なるべく早く「どちらでも良い」と諦めることです。そして、いかに「開き直って」生きていけるかということに、そのカギはありそうです。自身のカウンセリングでは、よく「私はいつも人の気持ちばかり考えていて、本当の自分がいないようです」とか、反対に「僕は、自分なりに気遣いをしているつもりなのに、友だちから自己中とか空気読めないと言われてツライ」といった声を耳にしますが、私はこれを「気質の諦めポイント」と呼んでいます。人生の中で何よりも重要なのは、誰に何と言われても、結局、自分は自分のこと大好き!という「無根拠の肯定感」「あるままを愛する心」を揺るがさず持つことなのです。ここがいつもグラグラ揺らぐ方は、良いことが起きたとしても、結局体の不調や心の疲れのほうが目立って出てくるのではないでしょうか。

1日に1度、「もしこういうことができる自分だったら良かったのになあ。そんなダメな自分も含めて自分ではカワイイと思う、頑張っていると思う!」と(無理にでも)思いを寄せるトレーニングをしてください。オーストリア出身の自己心理学者であるハインツ・コフートも、「自分を好きでいるかどうかでその人の幸福感は決まる」と言っているわけです。

なお、自己心理学の中には、人間の心を「Become」と「Being」に分ける考え方があります。「Become」とは、これが出来たから自分が好きという「条件付きの自己愛」ですが、一方で「Being」とはあるがままの自分が好きだという「無条件の自己愛」です。たとえば、「かけっこで1等賞になった」「営業ノルマが達成された」というときに感じるのは「Become」ですよね。それに対して、「かけっこでビリになったけど、友だちに抱きしめられた」「成績が悪かったけど、お母さんがおいしいカレーを作ってくれた」などのときに育まれるのは「Being」の方です。ありのままの自分を肯定されているという感慨が、その人の根を大きくします。

大人になると、こういう経験が減ってきますよね。だからこそ、あなた自身があなたの味方になってあげてください。もし「他人の目を気にしすぎて思うことが言えない」という悩みがあるのでしたら、それはあなたが思いやりのある気配りの人であるという証なわけですから、そこを変えようとはしないで「そこが自分らしさ」「そこが良いところ」として抱きしめてあげてください。ありのままの自分=「Being」の自分を褒める。くすぐったいように聞こえるかもしれませんが、それが自己肯定感を強めるための最初の礎となるものです。

さて、次回は「将来の夢を見つけたい! あなたを変える心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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vol.76 2024/09/12

他人の目を気にしてしまう方へ...!自分に正直になる心理学

外向的な人ほど、周囲の気持ちが気になる

他人の目が気になってしかたない。そのような人は往々にして外向的な気質を持つタイプといえます。読んで字のごとく「心が外に向かう気質」なわけですから、自分自身の気持ちよりも周りの人の気持ちの方が気に掛かるのです。だから気配り上手で、周りに親切。他人の目に私はどう見えているかを心配する人が多いようです。言い換えると、空気を読める力があるからこそ、自己主張が苦手、本当の自分がわからない...と悩んでいる人もいます。

それとはまったく反対のタイプに、自分の世界をはっきり持っていて、他人の目なんてあまり気にならない人もいますよね。そのような人は、おそらく内向的な人だといえるでしょう。「心が内に向かう気質」なわけですから、ホンネを大事にしながら自身のタイミングでテキパキと動くことが得意なようです。しかし一方で、周囲からはマイペースに見えたり、気が利かないと言われてしまったり、周りから浮いていると思ってしまって悩んでいる人もいます。

外向的か内向的か、これはどちらが優れた気質で、どちらが劣った気質ということもありません。両方に一長一短があり、両方の気質の持ち主が半数ずついる集団が一番グループワークが上手くいく傾向にあります。

実際に、これを分類する気質テストをしてみると、調査対象数が増えるほど、概ね50パーセントずつ、両者が存在するという事実がクリアになってくるのです...それはどちらの遺伝子も「世の中に必要」だからこそ、淘汰されずに残っているということの証しでしょう。また、もともと内向的な気質を持った人が、急に外向的に変わる率は低いことも分かっていますので、気質は基本的には「一生もの」だと覚悟したほうが良さそうですね。

ありのままの自分を愛することが自己肯定感に繋がる

大切なことは、この気質の部分に関して、もしあなたが悩みわずらっているとしたら、そんな悩みからは離れて、なるべく早く「どちらでも良い」と諦めることです。そして、いかに「開き直って」生きていけるかということに、そのカギはありそうです。自身のカウンセリングでは、よく「私はいつも人の気持ちばかり考えていて、本当の自分がいないようです」とか、反対に「僕は、自分なりに気遣いをしているつもりなのに、友だちから自己中とか空気読めないと言われてツライ」といった声を耳にしますが、私はこれを「気質の諦めポイント」と呼んでいます。人生の中で何よりも重要なのは、誰に何と言われても、結局、自分は自分のこと大好き!という「無根拠の肯定感」「あるままを愛する心」を揺るがさず持つことなのです。ここがいつもグラグラ揺らぐ方は、良いことが起きたとしても、結局体の不調や心の疲れのほうが目立って出てくるのではないでしょうか。

1日に1度、「もしこういうことができる自分だったら良かったのになあ。そんなダメな自分も含めて自分ではカワイイと思う、頑張っていると思う!」と(無理にでも)思いを寄せるトレーニングをしてください。オーストリア出身の自己心理学者であるハインツ・コフートも、「自分を好きでいるかどうかでその人の幸福感は決まる」と言っているわけです。

なお、自己心理学の中には、人間の心を「Become」と「Being」に分ける考え方があります。「Become」とは、これが出来たから自分が好きという「条件付きの自己愛」ですが、一方で「Being」とはあるがままの自分が好きだという「無条件の自己愛」です。たとえば、「かけっこで1等賞になった」「営業ノルマが達成された」というときに感じるのは「Become」ですよね。それに対して、「かけっこでビリになったけど、友だちに抱きしめられた」「成績が悪かったけど、お母さんがおいしいカレーを作ってくれた」などのときに育まれるのは「Being」の方です。ありのままの自分を肯定されているという感慨が、その人の根を大きくします。

大人になると、こういう経験が減ってきますよね。だからこそ、あなた自身があなたの味方になってあげてください。もし「他人の目を気にしすぎて思うことが言えない」という悩みがあるのでしたら、それはあなたが思いやりのある気配りの人であるという証なわけですから、そこを変えようとはしないで「そこが自分らしさ」「そこが良いところ」として抱きしめてあげてください。ありのままの自分=「Being」の自分を褒める。くすぐったいように聞こえるかもしれませんが、それが自己肯定感を強めるための最初の礎となるものです。

さて、次回は「将来の夢を見つけたい! あなたを変える心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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