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心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学

心理学者 / 臨床心理士
植木理恵
vol.82 2025/03/13

どうしても目立ちたくない! 恥ずかしがり屋の心理学

日本人の多くはシャイな遺伝子を持っている

心理学において、「恥ずかしがり(シャイネス)」の研究は、世界の中でも特に日本で盛んに行われています。日本人には、先天的にシャイな性格の人が多いことが明らかになっているからです。例えばアメリカ人との比較では、日本人の方が緊張や不安を覚えやすいS型遺伝子を持つ人が多く、反対に楽観的でリラックスしやすいL型遺伝子を持つ人が非常に少ないことがわかっています。さらにこの割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で示されています。すなわち私たちの多くは先天的にシャイなわけです。なので「目立ちたくない!」という感情は日本人らしさを表すもので、古くから美徳のひとつと捉えられています。

とはいえ、初対面や面接、接客など…社会に出ると、常に新しい人と出会うことになりますよね。このときシャイネスが強い性格だと、いつも緊張しやすいため、回避的な行動をとってしまい、損をしたり、疲れすぎたりすることも少なくありません。心理学では、このシャイネスを「恐怖型」と「自意識型」の2種類に分類して考えます。あなたがもし恥ずかしがり屋だとしたら、どちらのタイプに当てはまるでしょうか。

恐怖型のシャイネスは、「面識のない人が怖い」「警戒心が強い」「どこかに隠れたくなる」といった「怖がりすぎる」という特徴があります。この性格は、生後数ヶ月の幼い頃に形成されるものですが、大人になってもそのまま残る人がいるわけです。これに当てはまる人は、見知らぬ人を過剰に恐れすぎている「認知の歪み」が原因です。なので、これまで経験した「初対面」について振り返ってみる、回想日記法をお勧めします。

友人や同僚、現在の家族のことなどを思い浮かべて、時々日記にまとめてみてください。初対面のとき、あなたが「どのくらい相手を恐れていたか?」「実際に話したり、付き合ったりして、その気持ちがどう変化したか?」「今、相手のことがどのくらい怖いか?」「相手といてどのようなときに幸せな気持ちになるか?」などを振り返る習慣を始めてみると、「出会いを闇雲に怖がっても、それは思い過ごしが多い」ということが心の中に刷り込まれていきます。すると、初対面での不要な恐怖型シャイネスが減少していくはずです。

人間関係は満点ではなく、合格点を狙おう

対して自意識型のシャイネスは、10代から青年期以降になって作られていく性格と考えられています。「好きな人ほど話せない」「人からの評価が気になる」「人前で話せる自信がない」「目立ちたくない」といった気にしすぎるのが特徴です。

これに当てはまる人は、周囲から常に100点満点の評価を受けようとする完璧主義さが原因です。なので人間関係に「満点」を狙うのではなく、少し手を抜いて「合格点」を取れる方向に考え方を変えていくことをお勧めします。満点かどうかというのは他人が評価することですが、合格点は自分で設定できるからです。例えば人前で話をするとき、その場にいる人全員の同意を得られなくても、「自分的にはこのポイントだけは話したい」といった自己目標をクリアにしておくと、聴衆者の反応はさておき、ともかく合格点は取れたと満足感を得られるようになります。すると、だんだん人前で話すことがさほど苦ではなくなってきます。

また人間関係においては、相手から100%の愛情や協力を得られなくても、「自分的にはメールのやり取りができて、朝夕の挨拶を笑顔で交わしたい」といった合格ラインをクリアにしておくと、付き合い方が分かりやすくなり、不満が少なくなります。合格点が取れたので、まあ良しとしようという考えグセが身につくと、自意識型シャイネスは次第に減少していくようです。

前述の通り、シャイネスは勤勉な日本人にとって、美しい性格であることには違いありません。しかし、恥ずかしさのために行動が回避的になってしまうと、不機嫌だとか、やる気がないなどと誤解されることも多いようです。ご自身の性格と折り合いをつけながら、社会で上手く振る舞うために、ご紹介した方法をぜひ試してみてください。

さて、次回は「『ギャップがある人がモテる』は本当? 見た目と中身の心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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vol.82 2025/03/13

どうしても目立ちたくない! 恥ずかしがり屋の心理学

日本人の多くはシャイな遺伝子を持っている

心理学において、「恥ずかしがり(シャイネス)」の研究は、世界の中でも特に日本で盛んに行われています。日本人には、先天的にシャイな性格の人が多いことが明らかになっているからです。例えばアメリカ人との比較では、日本人の方が緊張や不安を覚えやすいS型遺伝子を持つ人が多く、反対に楽観的でリラックスしやすいL型遺伝子を持つ人が非常に少ないことがわかっています。さらにこの割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で示されています。すなわち私たちの多くは先天的にシャイなわけです。なので「目立ちたくない!」という感情は日本人らしさを表すもので、古くから美徳のひとつと捉えられています。

とはいえ、初対面や面接、接客など...社会に出ると、常に新しい人と出会うことになりますよね。このときシャイネスが強い性格だと、いつも緊張しやすいため、回避的な行動をとってしまい、損をしたり、疲れすぎたりすることも少なくありません。心理学では、このシャイネスを「恐怖型」と「自意識型」の2種類に分類して考えます。あなたがもし恥ずかしがり屋だとしたら、どちらのタイプに当てはまるでしょうか。

恐怖型のシャイネスは、「面識のない人が怖い」「警戒心が強い」「どこかに隠れたくなる」といった「怖がりすぎる」という特徴があります。この性格は、生後数ヶ月の幼い頃に形成されるものですが、大人になってもそのまま残る人がいるわけです。これに当てはまる人は、見知らぬ人を過剰に恐れすぎている「認知の歪み」が原因です。なので、これまで経験した「初対面」について振り返ってみる、回想日記法をお勧めします。

友人や同僚、現在の家族のことなどを思い浮かべて、時々日記にまとめてみてください。初対面のとき、あなたが「どのくらい相手を恐れていたか?」「実際に話したり、付き合ったりして、その気持ちがどう変化したか?」「今、相手のことがどのくらい怖いか?」「相手といてどのようなときに幸せな気持ちになるか?」などを振り返る習慣を始めてみると、「出会いを闇雲に怖がっても、それは思い過ごしが多い」ということが心の中に刷り込まれていきます。すると、初対面での不要な恐怖型シャイネスが減少していくはずです。

人間関係は満点ではなく、合格点を狙おう

対して自意識型のシャイネスは、10代から青年期以降になって作られていく性格と考えられています。「好きな人ほど話せない」「人からの評価が気になる」「人前で話せる自信がない」「目立ちたくない」といった気にしすぎるのが特徴です。

これに当てはまる人は、周囲から常に100点満点の評価を受けようとする完璧主義さが原因です。なので人間関係に「満点」を狙うのではなく、少し手を抜いて「合格点」を取れる方向に考え方を変えていくことをお勧めします。満点かどうかというのは他人が評価することですが、合格点は自分で設定できるからです。例えば人前で話をするとき、その場にいる人全員の同意を得られなくても、「自分的にはこのポイントだけは話したい」といった自己目標をクリアにしておくと、聴衆者の反応はさておき、ともかく合格点は取れたと満足感を得られるようになります。すると、だんだん人前で話すことがさほど苦ではなくなってきます。

また人間関係においては、相手から100%の愛情や協力を得られなくても、「自分的にはメールのやり取りができて、朝夕の挨拶を笑顔で交わしたい」といった合格ラインをクリアにしておくと、付き合い方が分かりやすくなり、不満が少なくなります。合格点が取れたので、まあ良しとしようという考えグセが身につくと、自意識型シャイネスは次第に減少していくようです。

前述の通り、シャイネスは勤勉な日本人にとって、美しい性格であることには違いありません。しかし、恥ずかしさのために行動が回避的になってしまうと、不機嫌だとか、やる気がないなどと誤解されることも多いようです。ご自身の性格と折り合いをつけながら、社会で上手く振る舞うために、ご紹介した方法をぜひ試してみてください。

さて、次回は「『ギャップがある人がモテる』は本当? 見た目と中身の心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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