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vol.37 2021/06/11

何度も顔を合わせるほどいい? 人の好意度にまつわる心理学

人は会う回数が増えるだけで好きになる!?

人に好感をもってもらうための、シンプルかつ最強の方法。それは、なんども顔を見せるということです。ある実験によると、人は数多くのテレビドラマやCMに出演しているタレントや俳優には、他のタレントや俳優よりも数倍の親近感を持つということがわかっています。もちろんその方自身に魅力があるので、多くのドラマやCMに起用されるのは当然のことでしょう。しかし一方で、私たちは無意識のうちに何度もそのタレントの顔を目にするので、より親しみを感じるようになるという効果も大きいのです。

アメリカの社会心理学者 ロバート・ザイアンスは、被験者と面識のない大学生の顔写真を複数回見せ、好感度がどのように変わるのか実験しました。その結果、人は見知らぬ大学生であるにもかかわらず、写真を見る回数が増えるほど、好感度が上がることがわかったのです。

これをザイアンスは単純接触効果と呼びました。私たちは、何度も顔を合わせる相手には、私はこの人に好意があるから何度も会うのだという錯覚が起きやすくなるのです。

たとえば近所を散歩していて、たまたま会うことが多く、挨拶をするような関係の人を大嫌いにはなりませんよね。また毎日のように学校帰りにばったり会って、「こんにちは」と顔を見せてくる小学生がいたとしたら、本来は知らないはずの子でも愛しくみえるものですよね。つまり、単純に接触する回数が増えるだけで、人は人を好きになるわけです。

顔を見せるだけではなくて、物理的な距離を縮めることも大切

反対に、滅多に顔を見ずに連絡事項だけをしている人には、そのような効果は起きません。たとえば遠距離恋愛が上手くいかなくなったり、海外の人との取引がなかなか成立しなかったりする現象は、直接、顔を合わせて話がしにくいということも一因となっているのかもしれません。つまり、なるべく会わずに事を済ませようというのはとても損なことなのです。私たちは、単純に視覚の多さだけで、相手に好意をもつ習性があるのですから。

ちなみにアメリカの心理学者 ジェームス・ボッサードが、婚約中のカップル5,000組を調査したところ33%が半径5ブロック以内に住んでいたということがわかりました。また2人の距離が離れているほど、結婚にたどり着く確率は低かったそう。このことから「物理的な距離が近いほど、心理的な距離は狭まる」と言えます。

このように心理学の理論から見ても、コロナ禍が早く過ぎて、顔を見合わせながら商談や食事会などのコミュニケーションが出来るようになることを願います。同じ空間で、互いの顔を見合わせて気持ちが通じ合えるようになると良いですね。

さて、次回は「自分の見た目に自信を持てないのはなぜ? 自分を受け入れるための心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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