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vol.3 2018/08/13

説得するときには相手の目を見るべき? 大切なことを伝えるときの心理学

大切な話は相手の目を見て話すと効果的!?

会社での大事なプレゼンや、大好きな相手への告白...。ここ一番というタイミングで、大切なことを伝えたいときって、誰でもありますよね。「この話だけはしっかり伝えたい!そして相手の心をしっかり掴んで、確実に説得したい」。そんなとき、あなたは相手のどこを見ながら話をしていますか?

調査実験では、約9割の人が、相手の目をしっかり見ながら、まるで訴えかけるように話していることが分かっています。しかし、それは大間違い!

パリ大学で行われた2017年の実験では、「この商品は素晴らしい」「今度の新入社員は優秀だ」というような、ちょっと眉ツバものの情報を実験者が被験者に訴えました。それを耳にした被験者がどのくらい納得するかということを研究したのです。

この調査では、実験者に2つの条件を与えて、比べました。
1.世間話は目を合わせずに話すが、大事な話だけ「目を合わせる」グループ
2.世間話は自然に目を合わせて話すが、大事な話になると「目をそらして」話すグループ
さて、どちらのほうが、被験者の納得性が上がったのでしょう?

一般的に推測すると、しっかり目を合わせて、大事な話をした方が説得できそうですよね。思い起こせば、子どもの頃に親から叱られたときには「ちゃんと目を見て話を聞きなさい!」と言われたくらいですから。

大切な話をするときには、相手の目を見ないのが王道!

ところが、この実験の結果は、その想像とはなんと真逆!なんと、ここ一番という大切な話をするときには、直前までしっかり目を見て話していたはずの人が、急にサッと目をそらしたり、あえて横顔を見せたり、横目で髪をいじったりしながら、キモになることをいきなり話す方が、相手を何倍もドキッとさせることが分かりました。そして、その話によって説得される人の割合も、格段と高くなったのです。

どうしてこんな結果になったのでしょう。それは、人は目をしっかり見られると、身動きがとれないような「不自由感」を覚えます。そして、逃げ出したくなるような心理状態になるからなのです。すると、「簡単には納得しない」とか「騙されない」といった「心理的リアクタンス(反発する心)」が生まれてしまいます。

つまり、説得上手は視線上手。なんでもないような日常会話では、相手の目を見ながら話すのだけど、ここ一番のときだけ、目をそらすのが視線マスターの王道なのです。

ずいぶんと昔の推理ドラマですが、古畑任三郎やコロンボ刑事は、犯人にグサッとくるようなことを言って責め立てず、あえて帰り際などに「ああ、ところで~」というように、サラッと言っていました。

よって「今から大事なことを言うから、はい、こっち向いて!」というのは、心理学的には理にかなっていません。営業でもプレゼンでも、視線の誘導まで気を配ることができたら、良い結果につながるかもしれません。

さて次回は、これを知れば仕事も恋愛も上手くいく!?「自分をよりよく魅せるための心理学」をお教えします。お楽しみに!

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