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vol.7 2018/12/10

人とより親密になるコミュニケーションとは? ジョハリの窓の心理学

人を褒めるコツとは?

褒め上手な人って得ですよね。誰でも褒められて悪い気はしないし、そもそも人間は「他人から認められたい、賞賛されたい」という承認欲求を強く持っています。この傾向は、男女ともに変わりはありません。

たとえばビジネスで人と接するとき、ひたすら仕事の話だけをして別れてしまうのか、はたまた相手の人柄やモチベーション、提案している企画など、その人自身の性格や能力をサラッと褒めて別れるのか...。これは後者のほうが圧倒的に相手の記憶にとどまり、親密になるのも早いですよね。ひいては仕事がスムースに進むことにもつながるでしょう。

では、いったいどこを見て褒めれば、人は喜ぶのでしょうか。これは意外と難しい問題です。なぜなら、下手に褒めると効果がないばかりか、相手を不快な気持ちにさせてしまうことすらあるからです。

人が一番褒めて欲しいこととは?

ジョセフとハリーという心理学者は、人間には4つの異なる「自己」というものがあり、触れてほしいところと触れてほしくないところがあるということを唱えています。これは、二人の名前を合わせて「ジョハリの窓」と呼ばれている理論です。次の4つの自己を、私たちは誰でも心に持っています。

窓(1)自分でよく自覚している+他人もよく知っている私
窓(2)自分でよく自覚している+他人は知らない私
窓(3)自分では無自覚+他人からも気づかれていない私
窓(4)自分では無自覚+他人からは知られている私

言い換えると、(1)は「開いた自己」、(2)は「隠した自己」、(3)は「闇の自己」、そして(4)は「魅力の自己」ともいえるでしょう。

まず、(3)の窓は、本人も他人もわからない未知の部分ですから、ここは触れようがありません。そこを適当に「あなたは30年後には政治家になるでしょうね」などといっても、褒められてうれしいというより...インチキ臭い人に見えてしまいます。

次に、(1)の窓は、たとえば誰から見ても話しが上手いとか、あきらかにオシャレとか、周囲も認めている上に本人もそれを重々意識しているところ。ここを「トークがお上手ですね」「センスがいいですね」と重ねても、相手は当然と思うだけで、さほどあなたが特別な人には見えないわけです。一生懸命褒めても、いまひとつ相手にピンとこない上に、平凡な人だなんて思われたら、褒め損もいいところですね。

では(2)の「隠した自己」はどうでしょう。ここはまさに「鬼門」といえます。たとえば「自分はすごくあがり症だけど、なんとか隠せているはず」「私は対人関係がストレスだけど、きっとバレていない」と思っているとします。

そこに、「本当はあがり症でしょ?でも今日は大丈夫だったよ!」「本当は人見知りなのね。でもよく頑張っていたよ」などと、傷口を広げるような褒めをおこなうと、相手は傷つくに決まっています。褒めたつもりがものすごく嫌われてしまう...そんな惨事が起こりかねません。

褒め上手な人は相手のココを見る!

では、褒め上手な人はいったいどこを見て褒めているのでしょう。それは、残された(4)の窓「魅力の自己」を叩いているのです。本人がまだ気づいていなさそうな長所。たとえば本人は「私はモノトーンの服しか似合わない」と決めつけている人に、「あなたは色白だから、パステルカラーの服が似合いそう」というなど、本人が気づいていない長所を探して、そこを指摘してあげる

他にも本人が「僕はコワモテだから営業に向いていない」と決めつけている人に、「あなたみたいなルックスは信頼されるタイプ。うらやましい」などと、本人が気づいていない「魅力」をいろんな角度からバンバン指摘するわけです。

この人は、自分のことをどう自己評価していて、社会はそのことにどのくらい気づいているのだろうかという視点で相手のことを観察し、本人が気づいていない魅力を見つけ、伝えることを習慣化してみましょう。

これは友人関係や恋愛、ビジネスなど、様々なシーンで応用できます。お互いに気持ちの良い人間関係をつくったり、モチベーションをアップさせたりするのに、役立つことが多いので実践してみてくださいね。

さて次回は、「どんなビジョンを見る? 新年にやる気をアップさせる心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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