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vol.8 2019/01/15

どんなビジョンを見る? 新年にやる気をアップさせる心理学

やる気を継続させるために必要なこととは?

新年の抱負なんて小学生時代の「書初め」じゃあるまいし...と、腰を据えて考えていない方も多いかもしれません。ですが、目標を明確に持つことは、大人になってこそ、大切なことなのです。

大人になると、小学生のときのように何かと叱咤激励したり、構ったりしてくれる人は少なくなりますよね。ですから、自分で自分の心を激励する力がないと、よしやるぞ!というモチベーションを置き去りにしたまま、だらだらと年月が流れてしまうことに。つまり、やる気を継続させるためには、自分の目標をクリアに持つということが必要なのです。実は、目標を持たない人は持つ人に比べて、うつ病などの精神疾患のリスクが高くなるというデータも報告されています。

ただし、実際に目標を持つときに注意しなければならないことがあります。それは、小学生時代のように「毎日ドリルをする」「友達をたくさん作る」といった言語化できる目標だけではダメということ。例を変えると、「営業成績を倍にする」とか「週に1回は婚活パーティーに参加する」といった言語化できる目標だけしか持っていない場合、その志はちょっとした失敗でポキッと折れてしまうことが分かっているのです。

なぜなら、それが上手くいかなそうになったとき、「やっぱり目標が高すぎたんじゃないか」「今年は年回りが悪そうだから来年にしよう」など、自分にとって都合がいい理由で合理化し、ほとんどの人が途中で諦めてしまうことが国内外の調査で明らかになっています。大切なのは、言語化できる目標に加えて「この一年、どんな自分でありたいか」という視覚的目標なのです。

視覚的な目標とは、「忙しくても笑顔をたやさない自分でいたい」「疲れていてもオシャレに敏感な自分でいたい」など、こうありたい自分というものを心に強く宿しているかということが、やる気を維持しながら目標達成できるかのカギになります。

言語化できる目標と視覚的な目標を持つことが大切

心理学では、こうなりたいと言語化できる目標を「BECOME目標」、こうありたいという視覚的な目標を「BEING目標」と呼び、性質の違うものとして区別しています。そして、その二つは両輪の輪のようにどちらが欠けていても前へ進めないことも実証されています。

仕事でこうなりたい、恋愛でこうなりたい、という「BECOME目標」だけでは、もしそれが難航したときに、前述のように人は「目標が高すぎた」など自分の中で合理化して諦めてしまいます。しかし、「仕事ではテキパキとした自分でいたい」「失敗を前向きにとらえる人でいたい」など、自分が自分に対して期待するビジュアルが意識できていて、そのビジュアルに立ち返ることが習慣化されていれば、人はそう簡単にはくじけません。

「今日の営業は全くうまくいかなかった。でも、自分は前向きな表情ができていた。それはカッコよかった。」「今日は恋人をずいぶん怒らせてしまった。でも、自分は相手の話を最後まで優しく聞けた。私は寛大でいられたのだからよかったんだ。」など、心に掲げたビジュアルはあなたの自信と自己愛を支え続けてくれます。

こうありたいという自己イメージが達成できていれば、失敗しても簡単に心が折れることなく、「大丈夫、この調子でやっていこう」と気持ちを切り替えることができるもの。人は、自己イメージや自分の心的ビジュアルに満足できてさえいれば、元気を回復できるのです。

反対に、自分がこうありたいという心的ビジュアルをまったく持っていない場合や「本当はこうありたくないのに...」という自分でいる間は、どんなに周りから褒められようとお給料がよかろうと、長い間頑張れるものではありません。

さて、あなたは今年、どんなことを達成したいですか?そして、それに向かってどんな自分で「ありたい」ですか?どんな心的ビジュアルを自分に期待し、どんな自己イメージを持ちたいのか。やる気に満ちたハッピーな一年を過ごすために、自分の目標を明確に持つことを強くオススメします。

さて次回は、「見るだけで癒される? 好きなヒトや動物の写真にまつわる心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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