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vol.9 2019/02/12

見るだけで癒される? 好きなヒトや動物の写真にまつわる心理学

毎日見るものが、脳の機能や心の成長に影響する

普段目にするものは、すべてその人の人生に少なからずの影響を与えます。たとえば、子どもの頃から田舎の海や山を見ながら育ったか、それとも都会の高層ビルを見上げながら育ったか。心理学ではそれによって、空間把握能力・感受性の強さ・忍耐強さ・共感能力に違いが出ることがわかってきました。

ブリティッシュ・コロンビア大学で10歳~12歳の児童を対象に研究したところ、空間把握能力や感受性が強く育っている子どもは田舎に多く、忍耐強さや共感能力が育っている子どもは都会に多く見られるという傾向が示されました。これはまだ個人差が大きく、一概に正しいといえる結果ではないのですが、普段から目に映るものは、脳の機能や心の成長過程にダイレクトに作用している可能性がありそうですね。

何を目に映すように心がけるか?反対に何を目に映さないようにするか?これは、知らず知らずのうちに、あなたの性格や感情、知能に関わってくるわけです。

ですから、心が疲れたときやイライラしているときは、目に映すものを意識的に工夫したり、変えてみたりするのはいかがでしょうか?これは、心のコンディションを手っ取り早く変えられる良い方法です。

好きなものの写真を見ると、体も活動的になる!

トロント大学の研究は、これに関して明確な回答を示しています。実験では、30代~50代の男女を対象に、いろいろな種類のスライドを見せて心の動きを測定しました。

グループ(1)は、子どもの笑顔・美しい虹・色とりどりの花など、一般的に好まれるスライドを10分間見続ける。
グループ(2)は、空襲による焼け跡・ゴミで汚された海辺・毒々しい色のヘビなど、一般的に嫌悪感を持たれるスライドを同様に見続ける。

結果は想定どおり。(1)の被験者はリラックスした気持ち、癒される感覚が強くなり、(2)の被験者はその反対の感情が強くなりました。そればかりでなく、(1)の被験者はその後の計算問題で高い成績をとりましたが、(2)の被験者は計算の間違いが多くみられました。

何を見ながら生きるかは、メンタルコンディションや集中力などに強く関連するということがこれではっきりしましたね。さらに、私が面白いと思ったのは、次のような結果です。

(1)の被験者はテスト後の歩行運動で、(2)の被験者の約3倍も長い時間歩くことができたということ。つまり、好きなものを目に映すことで、単に癒されるだけでなく、体までが活動的になったわけです。

好きなものを見ると、楽しい気持ちになったり、癒されてリラックスしたりするだけでなく、一時的であってもやる気のエネルギー、ハッスルする活力を高めたということです。この現象、取り入れない手はありませんね。

逆に、いつも漫然と嫌いなものばかり見ていると、やる気が下がり、集中力がなくなり、間違いが増え、うつうつとした気持ちが身についてしまう。よって、少し心の状態が良くないなとか、精神的に疲れたなというとき、あなたの好きな人や好きなもの、好きな色、好きな動物などの写真や画像を用意し、大至急、瞳に補充しましょう。

とくに寝起きが悪いという人は、いきなり起き上がろうとするのではなくて、ベッドサイドにあなたが大好きなものの写真などを置き、5分でも眺めてから起き上がると、その日一日のやる気も体力も集中力も、ぐっと持続しやすくなりますよ。

さて次回は、「春の新生活にむけて! 第一印象にまつわる心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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