1. コンタクトレンズのアイシティ トップ
  2. 心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学
  3. 部屋に花を飾ると癒される? フラワーセラピーの心理学

心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学

心理学者 / 臨床心理士
植木理恵
vol.100 2026/09/10

部屋に花を飾ると癒される? フラワーセラピーの心理学

花を見ることでメンタルの喜怒哀楽が整う

「あなたは部屋に花を飾る習慣がありますか?」と講演会などで聴講者に尋ねてみると、大半の方が「ほとんどない」と挙手し、その他は来客時だけ飾る方が多いようです。実は、これは心理学的にとてももったいないこと。ぜひ普段から習慣的に花を飾ることをおすすめします。

なぜなら、習慣的に花を部屋に飾ると、長期的に3つの利点があるからです。
(1)メンタルの喜怒哀楽が整う。
(2)集中力・記憶力の回復が格段に高まる。
(3)自己効力感が高まる。

これらは「フラワーセラピーの研究」でも実証されていることです。

まず(1)について、花が癒しや元気をくれる体験は世代を問わず、誰しも経験のあることではないでしょうか。部屋に花を飾らなくとも、学校や公園で咲いている桜やアジサイをふと目にしたり、パンジーやラベンダーの咲く遊歩道を歩いていたら、いつの間にか不安やイライラが静まってくる。それはなぜかというと、人間の目は元来タブレットやスマホのような無機質なものよりも、草花のような自然物や色、香りなど五感をくすぐるものに、自ずと注意が向かう性質があるからです。人は遺伝子レベルで草花に癒しを求めているのかもしれません。

次に(2)について。人間の「注意(attention)」というものは、認知心理学的に2種類あります。ひとつは、勉強や仕事、会議のために、本やPC画面などに対して集中するときに使う「能動的注意(Directed Attention)」というもの。これは脳をとても消耗しやすい性質を持っているとされています。それとは対照的なのが、真剣に見るつもりはなくても、植物や景色がふと目に飛び込んできたときに、心が自動的に動き始める「受動的注意(Soft Fascination)」というもの。こちらは脳を休めるような性質を持っています。つまり、モニターに集中して仕事をしているときにふと目を上げ、数秒でもそこにある花を偶然目にするだけで、脳のお休みスイッチが入り、集中力や記憶力が回復するのです。

花の移り変わりは心の柔軟性も育む

最後に(3)について。自己効力感(Self-efficacy)とは、「自分には環境を動かす影響力がある」ひいては「自分は生きていく価値がある人間なんだ」という大変重要な心理のことです。この力は単に言葉で言い聞かせてみたり、考え方を変えてみるだけでは培えないもの。モチベーションの根源となる自己効力感は、「小さな達成感の積み重ね」によって生まれると教育心理学では考えられます。

花などの植物を習慣的に飾るためには、ただ見るだけでなく、「水を替える」「花の水切りをする」「鉢に日光を当てる」といった手入れが必要になります。その結果、花が元気になったり、美しく咲いた花を見て「綺麗だね」と話すなど、他者と共有することで達成感を得ることができます。ささやかなことであっても、植物のケア(世話)をすることは、幼い子どもにとっても自己効力感の高まりや感情コントロールの上達に寄与することがわかっています。また、つぼみが開いたり、枯れるなど花の変化を観察することは、予測不可能な日常をありのままに受け入れる心の柔軟性を育むことに繋がるでしょう。

このように、様々な効用が科学的にも注目されているフラワーセラピー。単に部屋を美しく飾るためだけではなく、あなたのメンタルヘルスを守ったり、認知機能をアップさせるために、今日からでも試してみることをおすすめします。

さて、次回は「考えごとをしたり嘘をついたりすると目が泳ぐのはなぜ? 眼球運動にまつわる心理学」についてお教えします。お楽しみに!

瞳にまつわる心理学トップに戻る

vol.100 2026/09/10

部屋に花を飾ると癒される? フラワーセラピーの心理学

花を見ることでメンタルの喜怒哀楽が整う

「あなたは部屋に花を飾る習慣がありますか?」と講演会などで聴講者に尋ねてみると、大半の方が「ほとんどない」と挙手し、その他は来客時だけ飾る方が多いようです。実は、これは心理学的にとてももったいないこと。ぜひ普段から習慣的に花を飾ることをおすすめします。

なぜなら、習慣的に花を部屋に飾ると、長期的に3つの利点があるからです。
(1)メンタルの喜怒哀楽が整う。
(2)集中力・記憶力の回復が格段に高まる。
(3)自己効力感が高まる。

これらは「フラワーセラピーの研究」でも実証されていることです。

まず(1)について、花が癒しや元気をくれる体験は世代を問わず、誰しも経験のあることではないでしょうか。部屋に花を飾らなくとも、学校や公園で咲いている桜やアジサイをふと目にしたり、パンジーやラベンダーの咲く遊歩道を歩いていたら、いつの間にか不安やイライラが静まってくる。それはなぜかというと、人間の目は元来タブレットやスマホのような無機質なものよりも、草花のような自然物や色、香りなど五感をくすぐるものに、自ずと注意が向かう性質があるからです。人は遺伝子レベルで草花に癒しを求めているのかもしれません。

次に(2)について。人間の「注意(attention)」というものは、認知心理学的に2種類あります。ひとつは、勉強や仕事、会議のために、本やPC画面などに対して集中するときに使う「能動的注意(Directed Attention)」というもの。これは脳をとても消耗しやすい性質を持っているとされています。それとは対照的なのが、真剣に見るつもりはなくても、植物や景色がふと目に飛び込んできたときに、心が自動的に動き始める「受動的注意(Soft Fascination)」というもの。こちらは脳を休めるような性質を持っています。つまり、モニターに集中して仕事をしているときにふと目を上げ、数秒でもそこにある花を偶然目にするだけで、脳のお休みスイッチが入り、集中力や記憶力が回復するのです。

花の移り変わりは心の柔軟性も育む

最後に(3)について。自己効力感(Self-efficacy)とは、「自分には環境を動かす影響力がある」ひいては「自分は生きていく価値がある人間なんだ」という大変重要な心理のことです。この力は単に言葉で言い聞かせてみたり、考え方を変えてみるだけでは培えないもの。モチベーションの根源となる自己効力感は、「小さな達成感の積み重ね」によって生まれると教育心理学では考えられます。

花などの植物を習慣的に飾るためには、ただ見るだけでなく、「水を替える」「花の水切りをする」「鉢に日光を当てる」といった手入れが必要になります。その結果、花が元気になったり、美しく咲いた花を見て「綺麗だね」と話すなど、他者と共有することで達成感を得ることができます。ささやかなことであっても、植物のケア(世話)をすることは、幼い子どもにとっても自己効力感の高まりや感情コントロールの上達に寄与することがわかっています。また、つぼみが開いたり、枯れるなど花の変化を観察することは、予測不可能な日常をありのままに受け入れる心の柔軟性を育むことに繋がるでしょう。

このように、様々な効用が科学的にも注目されているフラワーセラピー。単に部屋を美しく飾るためだけではなく、あなたのメンタルヘルスを守ったり、認知機能をアップさせるために、今日からでも試してみることをおすすめします。

さて、次回は「考えごとをしたり嘘をついたりすると目が泳ぐのはなぜ? 眼球運動にまつわる心理学」についてお教えします。お楽しみに!

瞳にまつわる心理学トップに戻る

  1. アイシティTOP
  2. 心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学
  3. 部屋に花を飾ると癒される? フラワーセラピーの心理学