vol.15 2019/08/13

人間関係に役立つ! 自分の見せ方の心理学

「カワイイ」と「キレイ」、それぞれの印象の違いとは?

「他の人から見たあなたのイメージは、カワイイ系? それともキレイ系?」...そう聞かれたらどう答えますか。そんなのどちらも同じじゃないの?と思われるかもしれません。実はこの二つの違いは、他者へ与える印象にも大きく影響するのです。

まず、カワイイとキレイの違いを調べるために、私たちは人の顔のどこを見てそれを判断しているのかを明らかにする必要があります。米・ニューヨーク市立大やマサチューセッツ工科大では、日本のアニメはどうしてカワイイと認識されるのか? ということを調べています。研究では、たくさんのアニメに登場するヒーローやヒロインを被験者に見せ、アイカメラを使って精緻な視線分析を行なっています。その結果、興味深いことが明らかになりました。

研究結果によると、ほとんどの被験者が、最初に見るのはヒーローやヒロインの目でした。そして、次に見るのはアゴで、そのあとまたすばやく目に戻るそうです。つまり、私たちは顔を認識すると、目とアゴの間を上下に細かく視線を動かす癖があるのです。視線を上下に動かして何をしているのかというと、それは、瞬時に目とアゴの距離を測っているのではないかと考えられています。

私たちは普段生活している中で、無意識のうちにすれ違う人の年齢判定をしているのですが、そのときに決定打とするのが、目とアゴの距離です。ここは赤ちゃんや幼児は短く、大人になるほど長くなっていくところです。

アニメを対象とした研究でも同じで、目とアゴの距離が短い印象があると子どものような雰囲気でカワイイ、反対に長い印象があると大人っぽくてキレイと思われやすいと結論づけられています。日本のアニメは、輪郭の縦:横比を1:0.89という現実よりもずいぶん短い印象に作ることで、カワイイを強調しているのです。

TPOに応じて、カワイイとキレイを使い分けよう

また、顔に対して目が大きいほどカワイイ、小さくするとキレイという印象につながることも明らかになっています。つまり、輪郭をふっくらと、目を大きめにぱっちりとさせればカワイイと認識されやすいけど、輪郭をシャープに目を細めにきりっと見せれば、キレイと認識されやすくなるということです。

さらに、男性でも女性でも、カワイイ人は情熱的な性格の持ち主で、キレイな人は冷静な性格なのではないかと、多くの人から推測される傾向も明らかになっています。これを髪型やメイクなどに利用して、カワイイときとキレイなときを使い分けられるとよさそうですね。

たとえば、プライベートではカワイイ印象を演出することで親しみやすさを強調して人間関係をスムーズに、仕事ではスマートさを演出できるキレイ系の印象を与ることで信頼されやすくなるかもしれません。また、営業先では情熱的な印象の方がよく話を聞いてもらえるけど、社内でプレゼンをするときは、スマートさを演出すると説得力が上がる、なんてこともあるかもしれません。顔の長さは前髪のアレンジや眼鏡で違う印象に、また目の大きさもコンタクトレンズやメイクで変えられます。男性はメイクで変化をつけることは難しいかもしれませんが、髪形や眼鏡の有無などで印象を変えてみては。

愛嬌のあるカワイイ自分と賢く見せるキレイな自分。二つの印象を使い分けることで、信頼性・社会性・親しみといった印象づくりを、うまくコントロールできる。自分の顔の見え方を少し演出すると、人生が変わってくるかもしれませんね。

さて次回は、「ポーカーフェイスでも丸見え!? 感情を読み取る心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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