コンタクトレンズのアイシティ トップ>心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学>ポーカーフェイスでも丸見え!? 感情を読み取る心理学
vol.16 2019/09/09

ポーカーフェイスでも丸見え!? 感情を読み取る心理学

笑顔の奥にある感情を見抜く方法とは?

楽しいときや愉快なときは、誰しも自然と笑顔がこぼれます。これは、文化や人種を越えて、万国共通なこと。家族や友人の笑顔はもちろん、初めて会うビジネスパートナーやクライアントが笑ってくれたら、こちらまで嬉しい気持ちになりますし、ホッとしますね。

でも、相手の表情から本当の感情を読み取れるものなのでしょうか。いいえ、それほど単純なものではありません。なぜなら、私たちはたとえ辛いことがあっても、ポーカーフェイスを貫くことができる生き物だから。人間の表情は時として嘘つきです。

もちろん、それが人間関係を円滑にすることもあります。でも、相手の表情の裏にある真の気持ちを知るためには、表情心理学の力を借りて、もっと注意深く、微妙な感情に迫る必要が出てきます。

主に女性や幼い子どもは、恐怖や驚きに満ちているときでも、笑顔を見せることが多々あります。私たちカウンセラーは、こういうケースには細心の注意を図って、クライアントの表情から伺える感情を鵜呑みにしないようにしています。

とくに日本人は、建て前を大切にする文化があるため、どんなときでも冷静を装うことが上手です。だからこそ、表情の真意をとらえようとする姿勢が大切になってくるのです。

多くの心理学者やカウンセラーが、相手の表情分析を行うときに注目するのは、目と眉の表情です。いくら口角を上げていたり、歯を見せていたりしても、その笑顔に潜む本当の感情は目や眉にひそかにあらわれると考えられているからです。

その時に多くの人が影響を受けたり、参考にしたりしているのが、アメリカの表情心理学者ポール・エクマンの考え方。エクマンは、海外ドラマ『ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る』の主人公のモデルにもなった有名な研究者なので、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、エクマンの一連の研究を引用しながら、人間の笑顔を深く分析してみましょう。

やっぱり目は口ほどに物を言う

相手が一見笑顔を見せているとします。その人の感情をもっと知りたかったら、口元だけではなく、目や眉の微細な動きに注目して見てみてください。まずは、笑いながら、眉を上にクッと上げて、同時に眼を見開いたとき。それは楽しいというよりも、びっくりしたという感情の方が大きいのかもしれません。単に楽しそうだと思うよりも、驚いて笑っていると解釈した方が近い可能性があります。

では、笑いながら眉間を寄せている。これはどんな感情でしょうか。それは何かを嫌だと避けようとしながらも、笑顔で自分を元気づけているのかも。これも単に楽しそうだというよりも、何か反発心を持ちながらもスマイルを見せていると考えた方が相手の心象に近い可能性があります。

さらに、笑いながら眉間を寄せることにプラスして、瞼が下に降りてきて目が少し細くなり、にらんだ感じになっているとしたら。それはどんな感情でしょう。本当は怒っているという可能性が出てきます。腹が立つ、ムカつくと怒りをおぼえながらも、頑張って笑顔を作っているのかもしれません。

楽しそうに見えたのに、後からクレームがついた。笑顔だったからと安心して放置していたら、怒らせてしまった。そんな経験がとても多いという人は、この怒りをはらんだ笑顔に気づく必要があります。

ちなみにカウンセラーとして一番気になるのは、上瞼がだらんと下がって、焦点がはっきりしていないのに、口元がスマイルのとき。これは何か悲しさを隠そうとしている笑顔だからです。楽しいのではなくて、何かに傷ついていることを隠している。こういう表情を見ると、無理を装っているのではと、考えてみる必要があります。

いつも笑顔だから安心していたのに、相手が急にキャンセルをしてきた。楽しくつきあっていたはずなのに、急にサヨナラを言われた。そんな経験がとても多い人は、この悲しみを含んだ笑顔に気づく必要があるかもしれません。このように、笑顔をざっくりと分類しただけでも、人の表情にはいろいろなストーリーがあることがわかります。

相手はポーカーフェイスで笑顔を作っているけど、本当は「驚いている」「嫌がっている」「腹が立っている」「悲しんでいる」のかも。あまり気にしすぎるのはギクシャクしてよくありませんが、相手のことを深く知りたいというときには、ちょっとした目と眉の動きに心を寄せてみましょう。感情に共感するスキルを高めると、より親密な人間関係を作ることができますよ。

さて次回は、「ファッションを変えるだけ! 自分の性格や行動を変える心理学」についてお教えします。お楽しみに!

瞳にまつわる心理学トップに戻る