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vol.17 2019/10/11

ファッションを変えるだけ! 自分の性格や行動を変える心理学

身につけているものの色が気分を変える

犬は嬉しいときにはしっぽをふりますね。それと同じように人もハッピーなときには自然と笑顔がこぼれたり、思わずガッツポーズをとったりします。逆に悲しいときは、うつむいてしまったり、自然と涙がこぼれたりします。このように私たちは感情の起伏に伴って、身体にその反応が出てしまうもの。

ところが、どうも人間はもっと複雑であることがわかってきました。心理学の研究では、感情が先にあって、その後に身体の動きが伴うだけではなく、なんと、楽しそうなポーズをとったり、明るい印象の服を着たりすれば気分が上がり、逆に悲しそうなポーズをしたり、暗い印象の服を着たりすれば気分も下がるということがわかっているのです。

心理学者のダリル・ベム氏は、これを情動二要因理論(※)としています。情動、つまり感情の起伏は、実際の喜怒哀楽そのものから引き起こるのみならず、身体のポーズや服装からも引き起こされるという、二つのルートを通って成り立つということ。
※情動二要因理論はスタンレー・シャクター氏が提唱し、ダリル・ベム氏が改変しています。

これは、ある人が囚人の服を着たら、おとなしく従順な感情になり、反対に警官や看守の服を着ると、実際に話す言葉や態度が威圧的に変わることから見出されたもの。つまりファッションによっても、人間の感情は変化するということですね。ちなみにこのセオリーに基づいてファッションを意識すると、プレゼンや企画会議の際は、黒やグレー、茶の服やネクタイは不利かもしれません。身に着けているものの色が暗いせいでいつもより気が小さくなったり、オドオドしたりしてしまうものです。人間って本当に繊細ですね。

見上げる行動をすれば性格もポジティブに

また4年前の学術雑誌『Science(サイエンス)』にフランスの研究チームによる興味深い実験が掲載されています。それは、まず一つめのグループには、床に置いてある豆を高いところに置いてある皿に20分間運んでもらいます。もう一つのグループには、高いところに置いてある豆を床にある皿におろしてもらうのです。つまり、前半のグループは常に頭や首を下から上へと見上げるポーズをとり続けることになりますね。それに反して、後半のグループは、反対に見下ろすポーズをとり続けざるを得ないわけです。

その結果が面白いのですが、前半の見上げるポーズをし続けたグループは、その後の面接調査で、楽しかった思い出や自分が幸せであること、家族を愛していることといった極めてポジティブなことばかりを話したのです。反対に、後半の床の低いところを見下ろし続けたグループは、職場環境や人間関係などでの極めてネガティブなことを報告することがわかりました。これはまさに、身体をどう動かすかで、そのときの感情が大きく変化するということが証明されたと言えるでしょう。

この現象を活かさない手はありませんね。毎日スマホばかりをいじっているのではなく、なるべく空や太陽、雲を見上げましょう。そして休憩時間には上に向かってグーンと伸びをしましょう。仕事中も、ただ座って悩んでばかりいないで立って考えてみましょう。膠着していたネガティブな問題が、良い方向に切り替わる可能性は小さくありません。

さらに、さあ、今日は勝負だ!という日には、キレイな暖色系の色や、攻めの赤やオレンジでびしっと決めてみてはいかがでしょうか。あなたのファッションに伴って、あなたの感情も知らず知らずのうちにポジティブに。堂々と大胆に振る舞える確率がアップすると思いますよ。

さて次回は、「話を中断できる人は最強!? 相手に興味を強くひくための心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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