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vol.26 2020/07/14

不満は不幸を呼び寄せる? 不幸体質にならないための心理学

ムカムカやイライラが続くと、ネガティブな考えが生まれる

家庭や仕事場で家族や同僚に対して、ムカついたりイライラしてしまったりすることがありますよね。実は、このムカつきやイライラは思考ではなく感情なのです。私たちは無意識のうちに「うれしい」「悲しい」「切ない」「悔しい」などの感情を1日に何度も体感しているものなのです。

この感情に関して、カナダ大学の心理学者イーセンが興味深い実験結果を発表しています。それは、ショッピングセンターでたまたま景品をもらって「うれしい!やった!」という感情になった人は、その日に自分で購入した他の製品の満足度がとても高いということ。つまり、うれしいという感情が「今日の商品はすべて素晴らしい」という思考をもたらすということですね。よって、ポジティブな感情はポジティブな考えや判断を生むというわけです。

同じような実験で、豪・ニューサウスウェールズ大学の心理学者ジョセフ・P .フォーガスとステファニー・モイランはこんな結果を報告しています。それは、コメディ映画を観終わったばかりの人に「あなたの実生活は良好ですか?」と質問をすると、ほとんどの人が「YES」と回答をするとのこと。

これらの2つの実験からわかることは、人はそのときの感情や気分に応じて自分が幸福かどうかという思考や判断が、簡単に左右されるということです。つまり、気分の良いときにはポジティブな判断をしやすいけど、「ムカつく」「イライラする」というような気分が続くと、ネガティブな考えグセに変わっていき実際に不幸体質になってしまうということですね。

気分に対して幸せ度は比例する

その人の気分と実際にその人が幸福なのかということが、かなりの程度一致するということ。これを心理学では「気分一致効果」と呼んでいます。つまり、ポジティブな気分の時には前向きな判断や決断をしやすく、ネガティブな気分の時には後ろ向きな判断や決断をしやすいという傾向が明確になっているのです。

ということは、いつもムカムカ・イライラというような感情が続いている人は、いつもイヤな記憶や過去を思い出しネガティブになってしまい、それが習慣化されると本当に不幸体質になってしまう恐れがあるということ。つまり、毎日幸せな人生を送れるかどうかは、その人がいかに普段から自分自身の感情をご機嫌な状態にコントロールできるかということなのです。

幸福体質になるために必要なことは、とにかく毎日を機嫌よく過ごすということ。これまでの連載でも紹介してきましたが、このような感情コントロールは自分がやる気になりさえすれば、意外に些細なことでもできるものです。具体的な行動としては、「好きな写真を持ち歩く」「部屋のディスプレイを変える」「お気に入りの色の物をいつも持つ」などです。

また不満は不幸を呼び寄せます。そうならないために今日もできるだけ機嫌よく過ごすぞと心に留めておくことは、心理学的にとても大切なことなのです。特に良いことはなくても鼻歌を歌ってみたり、自分を褒めてみたり、テレビを観て笑ったりするなど感情をできるだけハイに持ち上げる習慣を身に着けて、不幸体質から脱出しましょう!

さて、次回は「客観視が大事! 自分の仕事や業務を見直して『デキる人』になるための心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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