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vol.46 2022/03/11

理想、双子...そして鏡!3タイプの友人をつくるといい? 人生が豊かになる心理学

大人になってからの友人関係は、量よりも質

良い友人は、あなたの人生を豊かにしてくれます。幼少期や思春期はもちろん、年齢を重ねていってからこそ、友人付き合いは重要になってきます。しかし、周囲から「大人になると、友達が少なくなる。作りにくくなる」という話をよく聞きますよね。確かに仕事を始めたり、家庭を築いたりすると、人付き合いの幅は狭くなりがちで仲良しグループで遊ぶといったことはほとんどなくなりますよね。

だからこそ、友人関係で大切なのは「量(Quantity)」ではなく「質(Quality)」なのです。フロイト学派を継ぐ、近年の心理学者のひとりであるオーストリア出身のハインツ・コフート博士は、単に仲が良いばかりの友人ではなく、「自己承認」や「安らぎ」、「ライバル心」の3つのQuality(クオリティ)を満たしてくれる人と一生の間に出逢うことが出来れば、あなたの人生は自己愛に満ち、幸せなのではないかと述べています。さらに博士は、上記3つの役割を担う人間関係を「鏡」「双子」「理想(野心)」と名付けました。

成功するためには口うるさい友達の忠告も必要

最初の「鏡」は、あなたが少し元気がなかったり、その反対に元気いっぱいで思い切ってイメチェンしたり、または以前は嫌いだった食べものを克服したりしたときに、「どうしたの?」「なんか変わった?」と「鏡」に映すように見たままのことを言及してくれる人。心の中で思っているだけでスルーするのではなく、きちんと言語化して、自分の存在を認めてくれる人です。

次の「双子」は、あなたが「こんなにヒドイ目に遭った」「とても良いことがあった」などと感情の吐露をしたとき、「大変だね」「良かったね」で終わるのではなく、まるで自らの出来事のように「それは悲しかったね。自分にも昔、あなたと同じようなツラいことがあったから今のあなたの気持ちが自分のことみたいに突き刺さる」などと、一緒に落ち込んだり喜んだりしてくれる人です。人類はみな双子。辛いことも嬉しいことも、自分だけに起きているわけじゃない。みんな一緒なんだという共同体感覚。生きていく上での欠かせない栄養分、安らぎを与えてくれる人です。あなたが普段からその栄養分(共同体感覚)を周囲に撒き散らしているタイプなら、双子的な友人は増えやすくなります。

最後に、コフート博士が重視したのが「理想(野心)」というタイプの友人です。こんな人になりたいという憧れの対象であったり、ただ褒めあったり、寄り添ったりするだけではなく、「努力しないと損するよ」「あなたにはこんな素質があるのにもったいない」と赤裸々に叱ってくれたりする人のことです。もちろん、相手は意地悪な気持ちから言っているのではなく、良きライバルとしてあなたを想う気持ちがあるからこそ歯がゆく思い、我が事のように口が酸っぱくなるまで言ってしまうという存在。このような友人ともなかなか出会えるものではありませんね。

実は、私にはこの3種類の友人のうち、この「理想(野心)」が一番多いのですが、それはそのような言葉を真摯に受け止めて、「こんなに言いにくい事を、私のために指摘してくれてありがたい」と考える習性があるからだと思います。どんどん上昇気流に乗っていくには、一見口うるさい「理想(野心)」タイプの友人から逃げるべきではないと思いますよ。

さて、ここまで書いてきたように、大人になればなるほど、友達の絶対数は減っていくわけです。だからこそ、「鏡」「双子」「理想(野心)」といったQuality(クオリティ)を重視して、大切にお付き合いするべきですね。そしてあなた自身も、誰かの「鏡」「双子」「理想(野心)」といった存在を担えているのかを一度考えてみましょう。

さて、次回は「じゃんけんで何を出すか見れば、相手のことがわかる? 内面を見抜く心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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