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vol.69 2024/02/08

視野の広い人になりたい! 柔軟で多面的に物事を捉えるための心理学

考え方が狭くなると損するだけでなく、後悔するような結末に!?

「もっと広い視野を持って頑張りなさい!」...人間関係や転職、進路選択などで悩んでいるとき、先輩や親からそんな言葉で激励されたことはありませんか? 自分でも分かっていることですが、なかなか難しいですよね。だけど、このような状態=「心理的視野狭窄(きょうさく)」を放っておくと、人生を台無しにしてしまう可能性もあるので要注意ですよ。

心理的視野狭窄とは、他にいくらでも幅広い選択肢があるにも関わらず、ストレスによって視野が狭くなり、「もう会社を辞めるしかない」「この人とは別れるしかない」という気持ちに追い込まれてしまい、挙句の果てには「老後はどうせ破産するに決まっている」「今のうちにこの世からいなくなってしまおうか?」などというように、極端な考え方になってしまう状態のこと。この状態に陥ると、生涯に渡ってお先真っ暗な気分で生きていかなくてはいけなくなってしまいます。つまり視野が狭くなることは、損をしてしまうだけではなく、時にはいのちに関わることもあるのです。

しかも、心理的に視野が狭くなっていると、なんと他人から騙されやすくなってしまうことも分かっているのです。たとえば、引っ越し先を決めるときに「今、この物件を押さえておかないと、他の人に決まってしまうかも」と急かされたことはありませんか? でもこれは、もしかするとその物件を成約させたいがためのウソの可能性もありますよね。にもかかわらず、多くの人が他にたくさんの選択肢があったとしても、その物件にしか目がいかなくなってしまいます。その結果、後になって「もっと考える時間を持てばよかった」と後悔してしまうわけです。

視野が狭くなっていると感じたら、その物事から一旦離れよう

他にも、ショップで靴や洋服をたくさん試着して、多くの時間をかけてしまうと、実はあまり気に入っていなくても、なんとなく「うーん、じゃあこれを頂きます」と、そこまで欲しくなくても購入してしまうことはないでしょうか。これは、店員さんや友だちなどを自分のショッピングに付き合わせてしまった手前、決めないと悪いという余計な気まずさがなせる業。でも、心理的視野狭窄の起きない人は、そんなことは考えません。「もうちょっと考えてからまた来ます!」「今日は大丈夫でーす」と笑顔でお店を颯爽と出て行って、広くいろいろなものを目に移す習慣があるようです。

これはその人本来の性格によることが多いようですが、自分が視野狭窄状態に陥っている、そして何だか慌ててモノを決めようとしている...そう気づいたときには、少し勇気を出してその場を離れてみてください。すぐに決めるのではなく、結論を出すことを延期する癖をつけましょう。それが習慣になっていくと、案外平気になるものです。心の状態を作るのは、あなたの心のモヤモヤではなくて、あなたの実際の行動や習慣だからです。日常生活のみならず、就職や受験など人生の大きな決断でも同じです。焦ってしまうときこそ心の目を大きく開いて、ゆっくりと周囲を見回しながら、余裕を持って結論を出した方が、結局は「あの選択は正しかった!」となる可能性大ですよ。

さて、次回は「見慣れない人に対して不安を感じるのはなぜ? 人見知りの心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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