心理学者 植木理恵の瞳にまつわる心理学

心理学者 / 臨床心理士
植木理恵
vol.94 2026/03/12

実は目が笑っていない? 作り笑顔を見抜く心理学

気になる相手の表情はどうしても気になるもの

アメリカの心理学者であるポール・エクマンは、人間には特有の「作り笑い」という表情があると指摘してきました。これは他の動物には見られない、人間独自の表現方法であるようです。

あの人の笑顔は、本物?それとも作り笑い?…仕事や恋愛のパートナーなど、特に興味のある相手に関しては、ちょっとした表情の違いも気になるものです。しかも、ある研究によると、年齢を問わず、大人から子どもまで半数以上の人が「作り笑いがバレないように」気を付けているらしいので、「あのとき彼女は笑っていたから大丈夫だな!」なんて、悠長に構えてはいられません。

ですが、「よく見たら本当は目が笑っていなかったんじゃないか?」と、深読みしすぎると話しにくくなってしまいますよね。だけど、この「本当の笑顔」と「作り笑い」はどう違うのでしょうか。簡単にパッと見て分かるチェックポイントをご紹介しましょう。

作り笑いが分かる5つのチェックポイント

(1)目の周囲の眼輪筋。作り笑いのときは眼輪筋を無理に動かそうとする意識が働くので、目の筋肉がピクピクしがちになります。心から笑っているときは、意図的に目の表情を作らないので、笑いジワができることはあっても、ピクピクはしません。
(2)口角の上がり方。作り笑いのときは目をあまり動かさずに、口元だけが大きく笑います(ビッグスマイル)。そうでないときは、目がシワくちゃになっても、口は大きくは開けないという傾向があります。
(3)見た目から作り笑い。パッと見たときの表情に「ぎこちなさ」が見られることが多いです。自然な笑顔は比較的左右対称ですが、作り笑いは左右の表情に少し歪みが出ることがあります。
(4)笑顔の持続時間が不自然。本物の笑顔はパッと一瞬で現れて自然に消えますが、作り笑いは話題が終わっても、長く笑顔の表情が固定される傾向があります。
(5)表情と会話の内容が不一致。自然な笑顔は「会話内容」と、笑顔の時間が完全に一致していますが、作り笑いは一致していないことが多いです。例えば、会話の内容に遅れて笑ったり、先走って早めに笑うことがあります。

こうして考えてみると、人間は複雑な表情を無意識に使い分けながら、他者とコミュニケーションを取っているのが分かります。普段から眼輪筋やこめかみ、頬が疲れるという方は、無理して笑っている頻度が高いのかもしれません。

しかし、このような人間の「偽りの笑顔」は、決して「嘘つきだから悪い」ということではなく、「人を傷つけたくない」「その場の雰囲気を良くしたい」といった、文化的に優しく高次元なものだと思います。また、本人にストレスや不安がある場合は、誰しも対人関係で本来の表情が出ずに、防衛的になってしまうこともあるでしょう。

この傾向は欧米人よりも日本人に多く見られることがわかっており、思わず「作り笑顔」を交わし合う日本人は、欧米人から見ると、少し奇妙に見えているかもしれません。日本人同士で会話するときと、相手が欧米人のときは、目や口元の表情をコントロールできたら最高ですね。

さて、次回は「目を閉じる効果とは? 集中力向上やストレス軽減の心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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vol.94 2026/03/12

実は目が笑っていない? 作り笑顔を見抜く心理学

気になる相手の表情はどうしても気になるもの

アメリカの心理学者であるポール・エクマンは、人間には特有の「作り笑い」という表情があると指摘してきました。これは他の動物には見られない、人間独自の表現方法であるようです。

あの人の笑顔は、本物?それとも作り笑い?…仕事や恋愛のパートナーなど、特に興味のある相手に関しては、ちょっとした表情の違いも気になるものです。しかも、ある研究によると、年齢を問わず、大人から子どもまで半数以上の人が「作り笑いがバレないように」気を付けているらしいので、「あのとき彼女は笑っていたから大丈夫だな!」なんて、悠長に構えてはいられません。

ですが、「よく見たら本当は目が笑っていなかったんじゃないか?」と、深読みしすぎると話しにくくなってしまいますよね。だけど、この「本当の笑顔」と「作り笑い」はどう違うのでしょうか。簡単にパッと見て分かるチェックポイントをご紹介しましょう。

作り笑いが分かる5つのチェックポイント

(1)目の周囲の眼輪筋。作り笑いのときは眼輪筋を無理に動かそうとする意識が働くので、目の筋肉がピクピクしがちになります。心から笑っているときは、意図的に目の表情を作らないので、笑いジワができることはあっても、ピクピクはしません。
(2)口角の上がり方。作り笑いのときは目をあまり動かさずに、口元だけが大きく笑います(ビッグスマイル)。そうでないときは、目がシワくちゃになっても、口は大きくは開けないという傾向があります。
(3)見た目から作り笑い。パッと見たときの表情に「ぎこちなさ」が見られることが多いです。自然な笑顔は比較的左右対称ですが、作り笑いは左右の表情に少し歪みが出ることがあります。
(4)笑顔の持続時間が不自然。本物の笑顔はパッと一瞬で現れて自然に消えますが、作り笑いは話題が終わっても、長く笑顔の表情が固定される傾向があります。
(5)表情と会話の内容が不一致。自然な笑顔は「会話内容」と、笑顔の時間が完全に一致していますが、作り笑いは一致していないことが多いです。例えば、会話の内容に遅れて笑ったり、先走って早めに笑うことがあります。

こうして考えてみると、人間は複雑な表情を無意識に使い分けながら、他者とコミュニケーションを取っているのが分かります。普段から眼輪筋やこめかみ、頬が疲れるという方は、無理して笑っている頻度が高いのかもしれません。

しかし、このような人間の「偽りの笑顔」は、決して「嘘つきだから悪い」ということではなく、「人を傷つけたくない」「その場の雰囲気を良くしたい」といった、文化的に優しく高次元なものだと思います。また、本人にストレスや不安がある場合は、誰しも対人関係で本来の表情が出ずに、防衛的になってしまうこともあるでしょう。

この傾向は欧米人よりも日本人に多く見られることがわかっており、思わず「作り笑顔」を交わし合う日本人は、欧米人から見ると、少し奇妙に見えているかもしれません。日本人同士で会話するときと、相手が欧米人のときは、目や口元の表情をコントロールできたら最高ですね。

さて、次回は「目を閉じる効果とは? 集中力向上やストレス軽減の心理学」についてお教えします。お楽しみに!

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